脱力法

腹式呼吸の罠〜「肩をあげるな」は間違い⁉︎

レッスンで呼吸法を指導していると、腹式呼吸の罠にはまってしまう方がよくいます。

・「胸式呼吸」はしないで「腹式呼吸」をする

・お腹を出すのが腹式呼吸

・肩をあげるなと先生にならった

これらの事柄にピンと来るかたは注意です。

呼吸で動く筋肉

肋骨の挙上(吸気時)で使う筋肉

筋肉図鑑・前鋸筋前鋸筋は脇の下、肋骨と肩甲骨をつないでいる筋肉です。 「前にある鋸(のこぎり)形」の筋肉なので前鋸筋と言います。 どのような...
筋肉図鑑・外肋間筋外肋間筋とは 名前の通り肋骨の間にあります。この筋肉も肋骨の挙上(吸気)を助けます。 外肋間筋(前から) 外肋間筋(後...
胸郭を持ち上げる筋肉・小胸筋「小胸筋」とは 胸郭の前面についており、 肩甲骨と肋骨をつなぎます。 観察 三角形の形をしています。この筋肉は身...
首の大きな筋肉・胸鎖乳突筋胸鎖乳突筋 胸骨と鎖骨から後頭部までに平たく伸びている筋肉です。 首を倒したり、横を向いたりする際に働きます。 首の脱力、...

肋骨の下制(呼気時)で使う筋肉

筋肉図鑑・下後鋸筋|深い呼吸をするために背中の筋肉を脱力下後鋸筋とは 脊椎と肋骨下部をつないでいる筋肉で、鋸(のこぎり)のような形をしているため、 このように呼ばれます。 観察 ...
筋肉図鑑・息を吐く筋肉・内肋間筋内肋間筋とは 名前の通り肋骨の間についており、呼気を強める際に働く筋肉です。 観察 内肋間筋(前から) 内肋間筋(後ろか...

 

なぜ胸式呼吸はだめと言われるのか

歌の指導を見ていると先生から

「胸式呼吸はせずに腹式呼吸をしなさい」

と言われてきた生徒さんによく会います。

ここで注意しなければならない点があります。

胸式呼吸は悪いわけではなく、腹筋の脱力ができていないことが問題になっています。

 

横隔膜が下がると内臓が下方へ押されます。

この時押された内臓は骨盤の中へ、骨で囲まれていない腹部へ押し出されていきます

もし、腹筋に力がずっと入っている状態であれば、内臓の逃げ場が少なくなり、横隔膜を下げることができません。

呼吸の主要筋肉ー横隔膜横隔膜とは 呼吸筋の中でも最も大きい筋肉です。 胸腔と腹腔を隔てていて、横隔膜の上には肺や心臓、下には胃、腸、肝臓などがあり...

力の入りにくい胸部周りのほうが広がりやすいので、胸部だけで呼吸するようになってしまいます。

胸を動かすなと指導する人は、胸部の筋肉の動きを制限することによって、横隔膜を動かさざる得ない状態を作ろうとします。

腹部の脱力の感覚を生み出すには良いですが、そのままでいると胸部の脱力ができなくなっていってしまいます。

なぜ腹筋に力が入ってしまうのか

腹筋は力が入りやすい筋肉の一つです。

腹部は内臓が入っており、非常に大切な部分です。

また、可動域を確保するためにこの部分は背骨しかありません。

体幹を支えるためにはどうしても腹筋の力をつかってしまうのです。

重いものを持ち上げる時、運動するときなど、体幹をしっかり支えなければならない時には特に力が入ります。

腹筋の脱力をするためには

腹筋は前側だけでなく、背中まで広がっています。

腹筋の力を抜くためには、骨格でバランスを取れるようにならなければなりません。

特に腹部より上の胸部、頭部のバランスが重要です。

前に傾いていれば背中側に力が入り、後ろに反っていれば前の腹直筋などに力が入ります。

正しい呼吸法とは

正しい呼吸法を身に付けたいのであれば、より緊張が少ない楽な呼吸を目指していきましょう。

なるべく体全体の筋肉を呼吸に同調させ、動きの可動域を広げていきましょう。

レッスンでは「全身呼吸」と呼んで指導しています。

息の吸い方

呼吸は吐く行為から行っていき、その流れで吸っていきます。

  1. お腹周りが均等にしぼんでいくようにゆっくりと息を吐きましょう
  2. 息がなくなるまで吐いたら、おなかの力を一瞬で緩め、自然に入ってくる空気を取り込みます。
  3. この時に胸郭周りも一緒に膨らんでいきます。胸郭の中心から全方向に放射状に広がるようにイメージをしましょう。

最後に

  • 呼吸で「胸や肩を動かすな」は間違いであり、胸郭まわりを押さえつける力が働いている
  • 胸部も動かしてよい
  • お腹が膨らまないのは脱力ができていないため
  • 呼吸は胴体全体で行われる

楽に深い呼吸をすることができるようになると、パフォーマンスが上がる他、健康に良いのでぜひ試してみてください。